雅梅に詩を教えてくれたのに、親や教師に反対されて手の届かないところに去っていった、初恋の不良少年・ミンとの思い出。結果的に見殺しにしてしまった、民主化運動の同志たち。実家に捜査が及んで、ショックで亡くなってしまった父親と、彼女を許さない母親。彼女を逃がしてくれたために捕らえられたトラックの運転手。
事件の後で、鄙びた漁村に匿われ、誰も立ち入らない深い山に篭って心の平安を求めた雅梅。その心境は、天安門事件の時に高校生でありながら民主化運動に関わり、スイスに脱出したシャン・サさんの心境と重なるようです。
家宅捜索で手に入れた雅梅の日記を読みながら彼女を追う軍の若い中尉が、今では彼女のたったひとりの理解者になっているとの設定のようですが、実際に著者が経験した出会いと関係あるのかどうなのかなんて、詮索する必要はありませんね。
タイトルは固有名詞の「天安門」ではなく、「Porte de la Paix Celeste(天の平安の門)」。雅梅に、シャン・サさんに、天の扉は開いてくれたのでしょうか?
2008/10