りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ブラック・ウォーター(T・ジェファーソン・パーカー)

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カリフォルニアを舞台とする上質のミステリを提供し続けている著者が、オレンジ郡の女性捜査官、マーシ・レイボーンを主人公としたシリーズものの3作目。

マーシーの同僚の保安官補アーチーが、自宅で意識不明の重傷を負って発見されます。妻のグウェンは、銃殺死体となって発見されます。第三者による殺人事件なのか、保安官補による無理心中未遂なのか。アーチー夫妻が収入を遥かに上回る贅沢な暮らしをしていたことも明らかになるなど、全ての状況証拠が無理心中を指し示している中でアーチーの無実を信じるマーシーですが、「警察は身内に甘い」との世論に追われてアーチー起訴のタイムリミットが迫ってきます。(実は、マーシーは前作でその逆のパターンに追い込まれたようなのです)

意識を回復したアーチーは、記憶を取り戻せないままに姿をくらましてしまうのですが、やがて見えてきたのは、事件の陰に隠れていた、バイオ・ベンチャーにからむ闇でした・・。

うかつなことに「シリーズ」ということを知らずに本書を読んでしまいましたので、本書に先立つ『ブルー・アワー』、『レッド・ライト』の2作を知らないと理解できない部分もありました。その点を割り引いて考えてもサイレント・ジョーカリフォルニア・ガールなどの他の著作より、主人公の人物造詣や、事件の背景に広がる闇の部分が「軽い」感じかなぁ。シリーズですので、主人公を成長させながら書き込んでいくつもりなのかもしれませんが・・。

2008/10