りぼんの読書ノート

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四十七人目の男(スティーヴン・ハンター)

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『極大射程』シリーズの主人公、ボブ・リー・スワガーの物語は、前作狩りのときで完結したと思っていたのですが、まだ続きがありました。しかし、ハンターさん。この作品は「やっちまったな^^;」です。

父アールが激戦地・硫黄島から持ち帰った日本刀を、元の持ち主であった日本軍大尉の遺族に返還するため、成田空港に降り立ったボブでしたが、その日本刀に秘められていた因縁が新たな戦いを引き起こします。その日本刀は、浅野匠守の切腹に用いられた後に、大石蔵之助の手に渡り、吉良上野介の首をはねたという代物だったのです。

最後には惨殺された日本軍大尉の遺族一家の敵討ちをするために、「ショーグン」と名乗る黒幕に夜襲をかけ、「近藤勇」と名乗る用心棒相手に大立ち回りを演じるボブですが、得意の狙撃は封印して、にわか仕込みの剣道で真剣勝負という忠臣蔵になっちゃうのですから「あらら・・」です。

もちろん日本で銃撃戦をやってはいけないけれど、斬り合いだってご法度ですよ! しかも、893やら、切腹やら、歌舞伎町やら、性風俗やら、いかにも「神秘の国・日本」のテイストたっぷりの「キル・ビル(見てませんが)」のような作品になっちゃってるんですね。

日本刀の凄みはよ~く理解できましたし、著者が、敵国であった日本兵に対しても「兵士としての尊敬の念」を抱いているということにも好意は持てるのですが、他の「スワガー・サーガ」シリーズの水準を期待する方には「時間の無駄」です。「キル・ビル」じゃないんですから。

2008/9/12読了