『勾玉シリーズ』の荻原さんによる現代ものですが、これは長編のはじまりなのかもしれません。
ヒロインの泉水子(いずみこ)は、世界遺産に認定される熊野の神社で生まれ育った中学三年生。おとなしくて、引っ込み思案で、男の子と接するのは大の苦手な目立たない少女なのですが、そんな自分を変えたいと思い、腰まで届くほど長い三つ編みの前髪だけ切ってしまった途端に、学校中のパソコンが停止するという異変が起こります。
そこにヘリコプターでド派手に登場した、父親の友人で泉水子の後見人を名乗る相楽は、「母親が封印するために編んだ三つ編みの一部を解いてしまったからかもしれない」などと、不思議なことを言うのです。
タイトルの意味は、「Red Data Book」との関連で「絶滅危惧少女」です。泉水子の舞は、『風神秘抄』の糸世が異界の御苑で舞ったことを思わせますし、深行のキャラは鳥彦や阿高を連想させてくれます。この本は、現代に続く『勾玉シリーズ』なのでしょうか?
児童書の扱いを受けそうな本ですが、荻原さんのことですから、しっかりした「物語」として仕上げてくれることと思います。
2008/9