りぼんの読書ノート

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大冒険時代(マーク・ジェンキンズ編)

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世界は近くなりました。地球の裏側にだって24時間もかからずに行けちゃうし、「秘境」と言われる所にもTV局のクルーがどんどん入り込んで、クイズ番組にされてしまう時代。でもそんなのは、せいぜいこの数十年間に起きた変化。わずか50年前には、世界にまだ「冒険」があり「異郷」が存在していたんですね。

「世界が驚異に満ちていたころ 50の傑作探検記」と副題のついた本書は、20世紀前半に、『ナショナル・ジオグラフィック』誌に掲載された旅行記のダイジェスト記事が当時の写真や地図とともに50本、収録されています。探検家、外交官、兵士、流刑者などの多彩な人々が、ラクダやロバや帆船や徒歩で移動し、遭難の危険や盗賊や異教徒と向かい合い、「文明人」は未だ誰も足を踏み入れたことのない場所を訪れる記事から溢れてくるのは、わくわくする感動です。

便利さと引き換えに失ってしまったものは、大きいですね。でもそんな時代には私などどこにも行くことはできなかったとは思いますが・・。

この本は50日かけて、1日1本の記事をベッドで読み、眠りにつく前のひとときの空想を冒険の世界に羽ばたかせるのが「正しい読み方」なのでしょう。数日で読みきってしまったのが悔やまれます。最後に、50本の記事のタイトルを紹介しておきましょう。


PART1:冒険の大地アフリカ
・アフリカの野蛮人間と野生動物(セオドア・ルーズヴェルト
・赤道アフリカでのゾウ狩り(カール・エイクリー)
ツタンカーメンの墓で(メイナード・オーウェン・ウィリアムズ)
・東ダルフールでの体験(エドワード・キース=ローチ少佐)
リビア砂漠縦断(A・M・ハッサネイン・ベイ)
・カイロからケープタウンまで、陸路を行く(フィリックス・シェイ)
・オートバイでアフリカ大陸を横断する(ジェイムズ・C・ウィルソン)

PART2:ロシア帝国の周辺で
・ダゲスタン高地 歴史の海に浮かぶ島(ジョージ・ケナン
中央アジアの大砂漠を行く~アフガンの国境、ペルシアの辺境(エルズワース・ハンティントン)
・極北シベリアの流刑者(ウラジーミル・ゼンジノフ)

PART3:中東・イスラムの風景
・ペルシアの隊商のスケッチ(ハロルド・F・ウェストン)
小アジアを行く(ロバート・W・インブリー少佐)
・灼熱のハドラマウトへ(ダニエル・ファン・デル・ミューレン)
・非イスラム教徒、メッカ巡礼に(オーウェン・トゥイーディ)
・ペルシアのいにしえの顔と新しい顔(メアリー・イレーヌ・カーゾン
アフガニスタン再訪(メイナード・オーウェン・ウィリアムズ)

PART4:混迷の中国周辺地帯
・黄色いラマ僧の国~孤高の地理学者見聞録(ジョゼフ・F・ロック)
・キャラバンで中央アジア横断のはずがクーリーに(ウィリアム・J・モーデン)
トルキスタンの砂漠の道(オーウェンラティモア
・地中海から黄海まで――自動車によるアジア大陸横断の旅(メイナード・オーウェン・ウィリアムズ)
ゴビ砂漠の探検(ロイ・チャプマン・アンドルーズ)

PART5:ヒマラヤの王国
・インドのトラ狩り(ウィリアム・ミッチェル将軍)
・インドからチベットを越えて中国へ(イリヤトルストイ中佐)
・アッサム‐チベット地震に遭遇して(フランク・キングドン=ウォード)
・エヴェレストの勝利(サー・ジョン・ハント&サー・エドマンド・ヒラリー)

PART6:極東からのレポート
・日本沿岸を襲った津波(エリザ・シドモア)
満州の日々(リリアン・グローヴナー・コーヴィル)
海南島、ロイ山地のビッグノットたちに囲まれて(レナード・クラーク)

PART7:魅惑の熱帯、マレー半島
スマトラ自動車旅行(メルヴィン・A・ホール)
・世界の果て、ニアス島(メーベル・クック・コール)
ボルネオ島の暮らし(ヴァージニア・ハミルトン)

PART8:アラスカ、未知の山脈
・1890年のセント・イライアス探検記(イズリアル・C・ラッセル)
・一万本の煙の谷(ロバート・F・グリッグズ)

PART9:南アメリカ、古いスペイン人の足跡
・メキシコの古きスペイン街道をゆく(ハーバート・コーリー)
・馬に揺られてブエノスアイレスからワシントンDCへ(エーメ=フェリクス・チフェリー)

PART10:アマゾン・オリノコ川の失われた世界
・水上飛行機でアマゾン峡谷探検(アルバート・W・スティーヴンズ大尉)
・ジャングルの河川でアンデスイワドリの生息地へ(アーネスト・G・ホルト)
・世界最大落差の滝をめざす密林探検行(ルース・ロバートソン)

PART11:大海原へ
・大型帆船でホーン岬をまわる(アラン・J・ヴィラーズ)
・禁断の海岸を航行する(アイダ・トリート)
・紅海の真珠採り(アンリ・ド・モンフレイ)
・南洋でときをさかのぼる(トール・ヘイエルダール
・漂流からの生還(サミュエル・F・ハービー少佐)

PART12:高空から深海まで-新しい冒険の世界
・豪州への飛行 ロンドンからオーストラリアへ飛行機で(サー・ロス・スミス)
南極大陸を空から制する(リチャード・E・バード少将)
北大西洋周辺調査飛行(アン・モロー・リンドバーグ
・海の墓場への往復旅行~水面下900メートルへ(ウィリアム・ビービ)
成層圏探査~前人未踏の高度(アルバート・W・スティーヴンズ)
・海中のカメラ~バウンティ号のしかばね(ルーイ・マーデン)

2008/3 出張中に