りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ホルモー六景(万城目学)

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笑撃のデビュー作鴨川ホルモーをめぐる、6話のオムニバス小説。どれも、ホルモーの余韻をしっかり楽しめる作品にしあがっています。京大だけじゃなく、どの大学でもホルモーは物語を生み出していたんですね。

『鴨川(小)ホルモー』
美女なのに男に縁の無かった、京都産業大学玄武組の「二人静」と呼ばれる彰子と定子。鴨川ホルモーで京大にあっけなく負けてしまったのは、この2人が仲たがいしていたから。互いの友情と恋をかけて、女子学生二人がホルモーで決闘!

『ローマ風の休日』
楠木さんが凡ちゃん頭に別れを告げるまでを、彼女がバイトしていたレストラン側から描きます。ホルモーの裏には、こんなエピソードがあったんですね。京都の街は自転車で回るのが一番。私も数年前、レンタサイクルで観光しましたよ。^^

『もっちゃん』
現代の話かと思っていたら、なんと80年以上も前のことでした。不器用なもっちゃんの失恋が、現在まで引き継がれている懐中時計と関係していたとは! 関係ないけど、森見さんの『走れメロス』シリーズに、『檸檬』を登場させることはもう出来なくなっちゃったかもしれません。

同志社大学黄竜陣』
4大学で戦われていたホルモーに、新たにもう1校が加わりそうです。同志社大学創立者である前島譲は、ホルモー関係者だった?京大の芦屋の自分勝手な三角関係が、同志社大のホルモーを復活させるなんて!

『丸の内サミット』
これが一番の驚きでした。ホルモーは京都だけのものではなかったなんて。丸の内での合コンで偶然再会した京都のホルモー部員の男女を驚かせたのは、やはり再会を果たしていた東京の大学出身の2人のサークル活動。ホルモー部員がサークルを聞かれたら困るだろうなぁ。でも東京で戦われるホルモーなんて、イメージ湧いてきません。

『長持ちの恋』
立命館大学白虎隊の新会長、細川(通称おたま)のバイト先は、あの「狐のは」。そこで不思議な長持ちを見つけた彼女は、400年以上の時を越えて文通を始めます。ホルモーに敗れて「ホルモー」と叫ぶと、不思議なことが起きるんですね。あの高村のちょんまげ頭が、こんな出会いに繋がるなんて・・。

このシリーズの登場人物は全員、京都にゆかりのある名前がついているのですが、平安、鎌倉末から室町、戦国、幕末から明治維新と、京都関係の人物は無尽蔵です。

2008/1