りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

女たちの内戦(桂望実)

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「内戦」と書いて「セルフウォーズ」と読ませています。つまり「自分自身との戦い」のことなのでしょう。でも、ここの登場する女性たちは4人とも、戦っている感じではないんですね。

仕事は腰掛けで結婚願望の強い29歳の真樹は、理想の相手を探して合コンに明け暮れているものの、皆、理想に届かないとしてふるい落としているだけ。34歳の専業主婦・佳乃は、仕事をしている友人たちを羨ましく思い「何かのサロンを開きたい」などと言っているけど、働く独身女性の厳しさを覗き見て引いてしまいます。

逆に私立の学園で働き周囲からバリキャリと思われている39歳のめぐみは、「仕事に生きる女でいたくない」と思いながら、年下の恋人からのプロポーズをうとましく感じてしまい、結局は自分のしたいことがわからない。ブティックを経営している45歳の治子は、資金繰りに困っているものの、離婚した夫や過去につきあった男性たちに金策を切り出せないまま。

立場の違いはあるけど、誰もが「流されているだけ」の感じで、共感できる女性が誰一人登場しないというのは、かえって何か違うものを狙っているのかとさえ、思ってしまうくらい。角田光代さんや森絵都さんと比較しては申し訳ないのですが・・。

2008/1