りぼんの読書ノート

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ゴーストハント6 海からくるもの(小野不由美)

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代替わりのたびに多くの死人を出すという言い伝えが残る旧家の依頼で、ゴーストハンターたちは能登に飛びます。当主であった祖父が亡くなってすぐに幼い姪の身体に異変が起こったというのです。それは一族にかけられた呪いなのでしょうか。

 

しかしゴーストハンターたちが見出す手がかりが、あまりにも多様なのです。海蝕洞窟の中にある祠。その一族の前に絶えた別の一族。江戸時代に惨殺された農民一揆の首謀者たち。村人に殺害されたという立山信仰の六部衆の伝説。無理心中に追い込まれた悲恋の男女・・。はたしてこれらには一貫性があるのでしょうか。そしてなんとその正体を探る中で、一行のリーダーであるナルが、何者かに憑依されてしまったのです。残されたメンバーは真実にたどりつけるのでしょうか。

 

シリーズの中で最もしっかりした構成を持っている作品だと思います。時代も内容も異なる多数の伝承をひとつに束ねてしまう大技がビシッと決まりました。これまでほとんど活躍をみせなかった巫女の綾子の活躍が凄かったですね。彼女が力を発揮するには「生きている樹木」が必要だったのです。これまで隠されていたナルのパワーの秘密も明らかになってきました。普通の女子高生にすぎなかった麻衣のパワーも強くなってきていますね。次の最終巻ですべては明らかになるのでしょう。

 

2021/11