女性のような美少年だったアレクサンドロスは、残虐な父フィリッポス2世と囚われの王女であった母オリンピアスの間で、孤独で屈折した少年時代をおくります。父が暗殺された後(本書では暗殺の黒幕はアレクサンドロスとされています)、20歳の若さでマケドニアの王位についた後、全ギリシャの覇権を握ってペルシャ遠征に乗り出す青年王は、まるで両性具有者のよう。
ペルシャを滅ぼし、さらに東方へと軍を進めるアレクサンドロスと、運命的な出会いを果たしたのは、ステップに住む勇猛なアマゾネスの女王アレストリア。彼女もまた、悲しい生い立ちから、心に傷を持つ者だったのです。
「女性的な英雄」と「男性的な女王」の組み合わせは、かなり倒錯的なものを感じさせてくれますが、相手を圧倒したのは、アレクサンドロスのほうでした。共に戦場で闘いたいというアレストリアに対し、貴族の養女との身分を与え、ロクサネと改名させ、後継者を産むよう囲い込みます。やがて、アレクサンドロスの遠征が止むとき、相手をより大きな愛で包み込み、愛の闘いに最終的な勝利をおさめるのは、アレストリアだったのですが・・。
物語は、史実として伝えられているものから大きく改変されています。前作よりも叙情的になってしまった分、読みにくかったかな。こういうテーマは苦手なのです。
2007/10