りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

明日この手を放しても(桂望実)

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19歳で途中失明して、司法試験を受ける夢を失ってしまった凛子。彼女を襲った不幸は、それだけではありません。一家を照らす太陽のようだった母は、突然の事故死。やっと売れ始めてきた漫画家の父は、突然の失踪。

父が失踪前に連載を始めていた、中途失明者の少女を主人公とした漫画の原作者として第二の人生を歩み始めた凛子と、頼りない兄・真司の、12年間に渡る2人の生活が描かれます。自分勝手で我慢がきかず、都合のいいことばかり考えている兄と、「きっちりんこ」と呼ばれるほど綺麗好きでリアリストの妹の2人の間は、うまくいくのでしょうか。そして何より、失明した凛子は、生きる気力を奮い立たせることができたのでしょうか。

この本は、中途障害者の自立の物語でもあり、兄妹間の家族愛の物語でもあります。でも、ちょっと、どっちつかずだったかな。両方の物語を描ききるのは難しいとは思うのですが・・。

2007/9