「カディスからの脱出」などの3編は、内戦終結後、数十年たっても癒えない内戦時代の傷をテーマにしながら、反政府組織、フラメンコダンサー、日本人ギタリスト、秘密警察など、得意のプロットを縦横無尽に駆使してくれます。
その集大成が『カディスの赤い星』であり、これは傑作。その後書かれた「スペインもの」も、なかなかいい作品が揃っているのですが、最近ではネタが尽きてしまったのか、犯罪小説や時代小説なども書いていて、こっちの方は、全然おもしろくないんですね。やっぱり「スペイン内戦もの」の作家です。
2007/8