りぼんの読書ノート

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(本谷有希子)

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佐藤江梨子さん主演で、映画が公開されています。もともとこの作品は戯曲として書かれたものだそうですから、閉鎖された空間の中でテンションをあげまくるキャラクターとテンポのよい展開は、小劇場にこそふさわしいのでしょう。

「あたしは絶対、人と違う。特別な人間なのだ」と女優になる夢を追う女性・澄伽を中心にして、姉にいたぶられながらも姉を冷静に観察する妹・清深と、姉妹の腹違いの兄夫婦の4人の家族。

事故で亡くなった父母の葬儀のために4年ぶりに帰郷した澄伽は、家族たちを地獄絵の中に陥れていきます。それは、澄伽の満たされない思いが嵐となって、家族という閉ざされた小さなコミュニティの中で荒れ狂うかのよう。

この嵐は意外な方向に進んでいくのですが、読んでて辛かった。こういう形で描かれた「絶望」は、めちゃくちゃ迫力あるのですが・・。

2007/8