りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

青年のための読書クラブ(桜庭一樹)

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東京山の手のお嬢様学校「聖マリアナ学園」の冴えない読書クラブは、王道を行く生徒会や、華々しい演劇部とは異なって、吹き溜まり状態。でも読書クラブには、歴代のクラブ員が100年に渡って匿名で
記録し続けた「裏学園史」が存在していたのです。

1969年。長身の美女でありながら、庶民的な生い立ちとコテコテの関西弁からどこからも相手にされず、読書クラブに迷い込んできた烏丸紅子。彼女を学園のアイドルに仕立てようと、「シラノ・ド・ベルジュラック」ばりの暗躍を見せる、デブブスの妹尾アザミの陰謀は、成功したのでしょうか。

1959年。誰からも敬愛されていた、学園の創設者である修道女マリアナの失踪に隠された秘密を、読書クラブ員が発見します。それは、40年前に学園が創設された時の秘密にまで遡るものでした。パリでいかがわしい発禁本を読ませる「読書倶楽部」を開いていた兄ミシュールの信仰を目覚めさせたマリアナに起きた奇跡とは・・。

1989年。世相とは無縁であった学園にも、バブルの波が押し寄せてきた時代。「マクベス」の魔女に例えられた、扇を片手に舞うジュリアナ娘たちが企てた、生徒会乗っ取り事件の顛末は・・。

2009年。読書クラブから、なんとロックスターが登場します。山口十五夜が歌う、読書クラブ部長への愛は、いつしか恨み節に・・。でも「緋文字」ほどシリアスじゃありませんから、ご安心を。

そして、女子高が共学化される2019年。たった一人残った読書クラブ員、五月雨永遠が、「紅はこべ」のような活躍を見せるのですが、女学園の終末にふさわしい事件が起こります。政治家として活躍する、70歳近くなった妹尾アザミも再登場。

でも、何よりもエンディングが良いのです。文学少女たちは、永遠に文学少女なのですね。^^

2007/7