りぼんの読書ノート

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ブーイングの作法(佐藤亜紀)

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29歳の若さで『バルタザールの遍歴』を書き上げ、日本ファンタジーノヴェル大賞を1991年に受賞した佐藤亜紀さんが、92年~94年にかけて発表した、オペラと映画に関するエッセイ集。

そういえば、佐藤さんは『小説のストラテジー』で、「小説を味わう」ことについて、絵画や音楽を味わいつくすように鑑賞することを例に挙げています。若い頃から芸術一般に通じていたんですね。とはいえオペラなんぞに縁のない生活を送ってきた私は、「音楽は言葉の翻訳に甘んじることない」とか、音楽家の資質についての一般論はついていけても、個別の歌手について評論されてもお手上げです。

では、映画のほうはどうかというと・・。これも、結構マニアックな古い映画や往年の俳優・女優に対する評価が大半ときては、「一応読んでみた」で終わっちゃいました。だからどのあたりが鋭いのか、イマイチ理解できないまま。^^;

でも、とっつきにくい印象のある佐藤さんですが、「くだらない・・」とつぶやきながらもウルウルしちゃう感動屋だったり、塩野七生さんの『ローマ人の物語』サイン会に並んでしまったとかの、意外な一面も発見。何より、「男の色気」に関しては、理想が高いですし。エッセイでは、作者の意外な一面も出ちゃうのです。

2007/7