このシリーズも3作め。すっかり、毎年の恒例行事になったかのようです。でも「07年度版・公募新人賞の傾向と対策」や「最新版文学賞事情」は、ちょっと地味でしたね。去年は、作品に恵まれなかったのでしょうか。ここで斬りまくられるほどの価値がある作品もなかったようです。確かに最近の話題が「ケータイ小説」や「タレント小説」ばかりでは、私も読む気が起きてきません。
ただシリーズ1作めでは「最も世界に近い」と言われていたはずの「日本ファンタジーノヴェル大賞」の価値が凋落気味というのは、少々気になります。第1回大賞の『後宮小説(酒見賢一)』が、その後の路線を決めたと言われるこの賞ですが、『しゃばけ(畠中恵)』以降、「プチ・しゃばけ」のような作品ばかりが目立つというんですね。確かに『しゃばけ』はおもしろい本なのですが・・。
お2人とも、去年の芥川賞(青山七恵)も、直木賞(受賞作なし)も外してしまいました。でも、これは当たらないでしょう。大森さんは「これからは、絶対に受賞しないと思う作品を選ぼう」などと暴言を吐いてらっしゃいましたが、選考委員を変えないことには、両賞の価値が問われるようになってしまうのでは? 今回の両賞には、どの作品が選ばれるのでしょうか。まさか2回連続で直木賞該当なしは、ありませんよね。
2007/7