りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

グッド・オーメンズ(ニール・ゲイマン、テリー・ブラチェット)

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アナンシの血脈では、物語を司る古代の神の子孫に訪れた試練をおもしろおかしく描いてくれた作者ですが、今度は黙示録の世界にズバリ直球勝負で挑戦です。

といっても、この作者のことですから、展開はめちゃくちゃコミカル。ハルマゲドンを起こすべく地獄から使わされたアンチ・キリストの赤ちゃんは、産院で間違った家族に預けられてしまって普通の子供に育ってしまうし、彼に付き従うべき地獄の番犬は可愛いワンコに変わってしまう。何より、地球を担当している神と悪魔の手先は、長年ライバル関係でいたことから、お互い理解しあって、相手に好意を抱いているのです。

この2人のキャラは最高。お互い人間に対して、天使は「善きこと」を、悪魔は「悪しきこと」を長いこと勧めてきたのですが、後になってみると、どちらがしたことなのかわからなくなるくらい似てしまってるんですね。まぁ「善」も「悪」も相対的ってことなのでしょうが・・。

それでも11歳になったアンチ・キリストの少年は、恐るべき力を持つようになり、黙示録の4人の騎士(戦争、飢餓、汚染、死)もやってきます。そこに、あまりにも正確な予言書を書いた魔女の子孫や、魔女狩り軍の子孫もからんで、ついに、ハルマゲドンが始まろうとするのですが・・。

ちょっと悪ふざけの度が過ぎちゃいました。もう少し抑えて書けば面白い本になったでしょうに残念。前作『アナンシ』では、そのあたりのバランスがとれていたんですけどね。

2007/5