今月のイチオシは、早川書房で新しく始まった「ブック・プラネット」叢書からいきなり2冊連続して出版されたヤスミナ・カドラさん。中立的な視点から「イスラムの声」を伝え続け、高い評価を得ている作家ですが、彼のペンネームは女性名。フランスに亡命する前のアルジェリア軍の将校時代に、軍の検閲を避けるため、妻の名前で作品を発表していたそうです。1.テロル (ヤスミナ・カドラ)
『カブールの燕たち』に続く「紛争都市3部作」の第2作の舞台はイスラエル。イスラエルに帰化して、外科医を務めているアラブ人のアミーンの妻シヘムが、自爆テロの犯人として遺体で発見されます。現在の豊かな生活に満足しているかに見えた妻が、なぜテロリストになっていたのでしょう。妻の本当の姿を探しに、パレスチナに入ったアミーンが見たものは・・。
2.石の葬式 (パノス・カルネジス)
1960年代の、ギリシャの貧しい片田舎の村を舞台にした連作短編集。貧しく、孤独で、偏屈で、理不尽さに耐えて生きている村人たちの生活を描く物語は、決して単純な「善人賛歌」ではありません。皆、時には貪欲で、時には残酷で、まるで現代のギリシャ神話のよう。
1960年代の、ギリシャの貧しい片田舎の村を舞台にした連作短編集。貧しく、孤独で、偏屈で、理不尽さに耐えて生きている村人たちの生活を描く物語は、決して単純な「善人賛歌」ではありません。皆、時には貪欲で、時には残酷で、まるで現代のギリシャ神話のよう。
3.イリアム & オリュンポス (ダン・シモンズ)
遠い未来、火星のオリュンポス山に棲みつき、人間たちにトロイ戦争を再現させている古代ギリシャ神話の神々。一方、地球では100万人に減少した人類が、自動機械の下僕たちに保護されながら、怠惰な生活をおくるだけの存在に成り果てていました。名手が描いた不思議な世界の謎を解く鍵が、なんとシェークスピアだったとは!
遠い未来、火星のオリュンポス山に棲みつき、人間たちにトロイ戦争を再現させている古代ギリシャ神話の神々。一方、地球では100万人に減少した人類が、自動機械の下僕たちに保護されながら、怠惰な生活をおくるだけの存在に成り果てていました。名手が描いた不思議な世界の謎を解く鍵が、なんとシェークスピアだったとは!
4.赤朽葉家の伝説 (桜庭一樹)
中国地方で製鉄業を営む一族の女性たちが織り成す、不思議な物語。千里眼を持つ祖母・万葉に、暴走族から人気漫画家になった母・毛鞠。そして、何者にもなれず悩む娘・瞳子。3代の女性の物語は、戦争直後から現代までの、時代の空気を写しだす歪んだ鏡のようです。
中国地方で製鉄業を営む一族の女性たちが織り成す、不思議な物語。千里眼を持つ祖母・万葉に、暴走族から人気漫画家になった母・毛鞠。そして、何者にもなれず悩む娘・瞳子。3代の女性の物語は、戦争直後から現代までの、時代の空気を写しだす歪んだ鏡のようです。
5.消えた少年たち (オースン・スコット・カード)
ノースカロライナの町に家族で引っ越してきたモルモン教徒の一家は、子供たちを守りながら必死で生きていくのですが、この町では少年の行方不明事件が頻発していたのです。ラストの20ページで明かされる衝撃の真相には、読む価値あり。その前の900ページ近い長い導入部は、引っ張りすぎなのですが・・。
ノースカロライナの町に家族で引っ越してきたモルモン教徒の一家は、子供たちを守りながら必死で生きていくのですが、この町では少年の行方不明事件が頻発していたのです。ラストの20ページで明かされる衝撃の真相には、読む価値あり。その前の900ページ近い長い導入部は、引っ張りすぎなのですが・・。
【その他今月読んだ本】
・ヘンリーの悪行リスト (ジョン・スコット シェパード)
・老人と宇宙(そら) (ジョン・スコルジー)
・旅の終わりの音楽 (エリック・フォスネス・ハンセン)
・フィッシュストーリー (伊坂幸太郎)
・世界の歴史6「近代ヨーロッパ文明の成立」 (J.M.ロバーツ)
・ミミズクとオリーブ (芦原すなお)
・イエローフェイス (村上由見子)
・酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 (恩田陸)
・無銭優雅 (山田詠美)
・猫とともに去りぬ (ロダーリ)
・算法少女 (遠藤寛子)
・黄昏の百合の骨 (恩田陸)
・ロマノフの血脈 (スティーブ・ベリー)
・世界の歴史7「革命の時代」 (J.M.ロバーツ)
・ヘンリーの悪行リスト (ジョン・スコット シェパード)
・老人と宇宙(そら) (ジョン・スコルジー)
・旅の終わりの音楽 (エリック・フォスネス・ハンセン)
・フィッシュストーリー (伊坂幸太郎)
・世界の歴史6「近代ヨーロッパ文明の成立」 (J.M.ロバーツ)
・ミミズクとオリーブ (芦原すなお)
・イエローフェイス (村上由見子)
・酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 (恩田陸)
・無銭優雅 (山田詠美)
・猫とともに去りぬ (ロダーリ)
・算法少女 (遠藤寛子)
・黄昏の百合の骨 (恩田陸)
・ロマノフの血脈 (スティーブ・ベリー)
・世界の歴史7「革命の時代」 (J.M.ロバーツ)
2007/5/3