りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

スコール(小檜山博)

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ぞうの耳さんのブログで紹介されていました。これは「大人の童話」ですね。現代農家の「嫁取り譚」。

嫁不足の農村の不幸を一身に背負ったような、42歳の正男。6年前には結婚式をドタキャンされ、半年前には結婚サギの被害者に。ついにフィリピンまで嫁探しに来たものの、何の当てがある訳でもなく、手当たり次第に女性に声をかけて、怒られたり、笑われたり。

フィリピンでも女に騙され、無一文になって帰国の費用も失い、進退に窮してヤクザの手先となり、今度は女性を騙す側に立つのです。つまりは「じゃぱゆきさん」を日本に送り込む仕事の手先になります。

でも彼の運命はここからまた、二転三転していきます。正男の運命やいかに・・ということになるのですが、彼の冒険は大国主命ヘラクレスの苦労さえ連想させてくれます。だってこの話は、現代の「嫁取り神話」なのでしょうから。実際には、この後の日本での生活のほうがずっと大変だとは思うのですが・・。

2007/5