りぼんの読書ノート

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文学賞メッタ斬り(豊崎由美、大森望)

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去年3月の出版ですから「ギター侍」とは関係ないはずです。『百年の誤読』の豊崎姉さんと、「下読みの帝王」大森さんのコンビが、芥川賞直木賞をはじめ、50を越える国内小説賞を「メッタ斬り」です。

あらためて思うのは「小説賞は本を売るための手段」ということ。だから、出版社ごとに、ジャンルごとに乱立してるんですね。そして「小説賞は選考委員次第」ということ。従って、文学賞斬りは「選考委員の文壇大御所」を斬ることなのです。勇気あるなぁ。それにしても、公開されている選評を見ると、結構笑えます。「おまえ~、絶対読んでないだろう!」ってのもありますしね。

2人が最後にぶちあげた構想は「文学賞全日本選手権」。数ある「地方文学賞」の地域リーグを勝ち抜いた作品と、シードの「全国区文学賞」受賞作とが対決し、年間チャンピオンを決定! 賞金はもちろんトトカルチョで。

この2人が選んだ、「全日本選手権」の選考委員は・・・
津本陽  :「ツモ爺」飄々さは外せない。でも介添役が必要?
井上ひさし:エンタメ系の大御所。とにかくマジメ。
宮本輝  :候補作をけなしまくる「怒りのヒール役」。
渡部淳一 :「下半身系」担当も必要なも?
石原慎太郎:政治の世界からも資金出させたい?

あとは40代の「若手」から、「山田詠美島田雅彦奥泉光」あたりの名前があがってましたけど、どうなんでしょう。若手女性作家をいたぶる「怖いおばさん役」で高樹のぶ子林真理子なんかも魅力です。

ネットを通じて「読者が選ぶ文学賞」もある時代に、こんな当たり前のメンバーでいいのでしょうか。でも私は2人と一緒で「新本格小説」とか「セカイ系」とかには拒絶反応あるから、こんなメンバーでいいのかもしれないな。ダブル村上とか、宮部みゆきあたりにも入って欲しいところですけどね。

ところで、評価が高かったのは「日本ファンタジーノヴェル大賞」。第一回受賞の『後宮小説酒見賢一)』以来、高水準が続いていて「世界標準に一番近い」とのこと。ただし、出版社主催ではないので、受賞者の「その後」には冷たいそうですが・・。

【おまけ】
なんと、私の住んでいる浦安市にも文学賞がありました。そういえば地元紙で見た覚えがある。選考委員はあろうことか「渡部淳一」。文学賞くらいあってもいいけど、彼じゃあ税金の無駄使いだよ!

2005/6