りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ミリオンダラー・ベイビー(F.X.トゥール)

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昨年のアカデミー賞を総なめにした映画の原作です。映画を見に行けそうもないので、読んでしまいました。今年の夏は「SWエピソード3」と「宇宙大戦争」を見なくてはいけないのです。^^

映画の宣伝そのままに、老トレーナーは「クリント・イーストウッド」、女性ボクサーは「ヒラリー・スワンク」をイメージしちゃいますよね。でも、この配役は、このイメージでOKです。特に「ヒラリー・スワンク」は、はまってます。かたくなに「女性は教えない」と言う老トレーナーに押しかけ入門し、ハングリーさと、ひたむきさと、素直さで彼の心をつかみ、100万ドルのファイトマネーを稼ぐスターへと駆け上がっていく女性は、彼女のイメージにぴったりです。

しかし、この話は「女性版ロッキー」ではありません。むしろ2人の夢が挫折するところからドラマがはじまるのです。この原作を上手に映画化したのなら、アカデミー賞も当然かな。ただ、あまりにも悲しい結末だったので、映画を見る気は失せてしまったのですが・・。

作者は50才近くなってボクサーを志し、その後トレーナーやカットマン(ボクサーの出血を止めるプロ)としてボクシング界に係わり続け、70才で作家デビューをした人。その2年後、2002年に亡くなっているので、自分の原作が映画化されたり、ましてアカデミー賞なんてことは夢にも思わなかったでしょう。

本書は、タイトル作だけでなく、著者のボクシングへの愛情がぎっしり詰まった短編集です。「ボクシング=野蛮・危険」のイメージがありますが、ちょっと危ない世界を覗いてしまった感じもさせられるほどリアルです。

2005/6