りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

デセプション・ポイント(ダン・ブラウン)

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『天使と悪魔』と『ダ・ヴィンチ・コード』の著者が、その2冊の間に著わした作品です。古代から連綿と隠されてきた秘密に題材をとった2冊と異なり、本書が扱っているのは「現代の陰謀」。底が浅い題材で奇を衒えない分、ストーリー展開力が問われますね。

間近に迫った大統領選の焦点は、アメリカ国家による宇宙開発。NASAを擁護して巨額の予算を承認してきた現職大統領と、「国家予算を食いつぶす金食い虫」にすぎないという対立候補

対立候補の娘であるレイチェルがNASAを巡る陰謀に巻き込まれます。それはNASAによる「地球外生命体の発見」。これが事実なら科学とロマンの前に財政問題などは吹き飛ぶし、間違いや捏造であればNASAの権威は地に落ちてしまう。もちろん、大統領選挙の行方も決定づけられることになります。

レイチェルが真相に近づくに連れて、妨害が大きくなります。果たして「地球外生命体」は、本当に発見されたのか? 陰謀を仕掛けているのはどっちのサイドで、黒幕は誰なのか? 

読んで見た感想は? なかなか、おもしろく読めましたよ。こういう話で大切なのは、読者の意表を衝くエンディングだけじゃなく、ストーリー展開がテンポよく、不自然さを感じさせないこと。北極海に崩れ落ちた流氷の上からSOSを送ったら、偶然近くにいたUSAの原潜に救助してもらえるなんてのは、「自然な流れのうち」としておきましょうか。^^

ダ・ヴィンチ・コード』は評判が高かった分、期待はずれ感を持ってしまったけど、やっぱり力量ある作家だと思います。

2005/5