この人の本、最初に読んだ『蒼穹の昴』が良かったのと、ハチャメチャな『プリズンホテル』シリーズが楽しかったので、つい読んでしまうのですが、最近はイマイチですね。『壬生義士伝』や『輪違屋糸里』の幕末ものでは、まだ、「泣かせの浅田」の本領を発揮していますが、現代ものでは期待はずれが多いかな。ワンパターンなのです。
「霧笛荘」とは横浜の波止場近くにあるアパート。もとは洋館だった、このアパートの6つの部屋にかつて住んでいた6人の人生の物語。社長婦人の座と子供を捨ててホステス暮らしをする女性、くすぶりの半端やくざ、オノボリさんのギタリスト、集団就職先のいざこざから男装のレズになった女性・・・とか聞くと、もう想像ついてきますよね。
「不幸の形は千差万別である。」でも、作家が紡ぎ出せる不幸のパターンには限界がある・・・ということでしょうか。
2005/5