りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

マジック・サークル(キャサリン・ネヴィル)

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「古代の秘密」を探り出す「伝奇小説」というジャンルがあります。本書もそのひとつ。西欧文明が「古代」という場合、中世経由でローマとキリスト教。それで足りなければ、ギリシャケルトユダヤ、エジプトが登場。本書の「秘密」はすごく古くまで遡ります。イエスその人でさえ「過去の秘密を発見」したとの設定なのですから。だから、現代を舞台にしてのストーリーは「過去の秘密の再発見」。

著者を思わせる現代USAの女性科学者が主人公。彼女が、急死した従兄弟の遺産を受け取った途端に、ヨーロッパの親族たちが亡霊のようにおしかけてきます。彼女の祖母が、仲違いさせた遺族に分割相続させた秘密とは・・? そもそも、従兄弟は本当に事故死したのでしょうか。

複雑怪奇な家族関係を解き明かすミステリーはおもしろく、前半は大いに期待を持たせてくれます。おいおい、登場人物はみんな一族かよ!(爆)

でも、この種の本はもういいや。だいたいは数字や地名や伝承にまつわる謎解きを延々と論じたあげく、ラストの種明かしが「こんなのありなの?」って感じだし(笑)。『薔薇の名前』や『フーコーの振り子』を越える本は出るのでしょうか。どちらも秘密をユーモアでくるんでいる点が卓越しています。

ところで本書の前半に登場するグランド・ティトンやスネーク・リバーは、4年前にイエローストーン周辺ドライブ旅行の時に訪れた場所。なつかしく思いながら読んでました。余談ですが、作者のキャサリン・ネヴィルさんは、ものすごいスーパーウーマンです。コンピューター業界で活躍し、バンカメの副社長まで勤めたキャリアの傍ら、こんな小説を書き、さらには画家、モデル、写真家まで経験してるんですから。

2004/12/9読了

作者です。やっぱり美女だね。
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