りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

陸王(池井戸潤)

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2017年秋にTVドラマ化された作品です。先にドラマを見てしまっており、ドラマのストーリーも概ね原作に忠実に作られていたため、登場人物たちのイメージがドラマの出演者になってしまいました。

足袋製造業は完全に斜陽業種であり、埼玉県で100年の歴史を誇る老舗「こはぜ屋」も、その例外ではありません。資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のために新規事業を思い立ちます。足袋製造の技術を生かして「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発を目論むのですが、従業員20名の零細企業が、世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、開発資金の調達、シューズのソールやアッパーの素材探しなどの難関を越えることができるのでしょうか。宮沢は、故障からの回復を目指すマラソンランナー、茂木裕人とのタイアップを模索するのですが・・。

よくできた作品です。零細企業が世界企業に挑む物語と、再起を目指すランナーがエリートランナーに挑む物語を交差させることで、ドラマ性が盛り上がっていくのです。そして彼らを支える仲間と、父親を越えていこうとする息子の存在が、読者や視聴者の共感を呼ぶのです。強いて言えば、良く出来過ぎてしまった分、リアリティが減じられてしまったかもしれません。

2018/1