りぼんの読書ノート

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格安エアラインで世界一周(下川裕治)

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1990年代から2000年代初頭にかけて台頭してきた「格安エアライン(LCC)」の波が日本に押し寄せてきたのは、2000年代後半のこと。世界的には既に、体力の弱いLCCの破綻が始まっていた時期です。

そんな時期である2009年に、バックパッカースタイルでの旅行記作家である著者が、「LCCによる世界一周」を行った旅行記が本書です。ルートは「関空 - マニラ - クアラルンプール - シンガポールバンガロール - シャルジャ - アレキサンドリアアテネ - ロンドン - ダブリン - ニューヨーク-ロサンゼルス - 成田」。使用したのは「エア・アジア、エア・アラビア、エア・リンガス」などで、かかった費用は約22万円。

実は、現在でも大手航空会社を使う世界一周チケットは30万円からなので、当時ではどのくらいの価格差があったのかは微妙なところです。そもそも「世界一周を目的に世界一周すること」の無意味さは、言うまでもありません。著者が、サービスも乗り心地も悪いLCCが嫌いになったのも当然でしょう。それでも、安く移動するためには、またLCCに乗るそうですが。LCCには、オーストラリア、カナダの国内線と、欧州の短距離線に乗ったことがありますが、長距離線では使いたくはありませんね。

本書で面白かったのは、シャルジャとアレキサンドリア。LCCが安価に利用できる不便な空港を選ぶのは当然として、ビジネス層や観光客が利用する「表街道」と、出稼ぎ労働者や移民たちが利用する「裏街道」の対比は鮮明です。ラウンジから洩れてくる「野良WIFI」を利用して、フライトのネット予約に悪戦苦闘する様子は、スマホが普及した現在と比較すると隔世の感があります。

2018/1