りぼんの読書ノート

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幹事のアッコちゃん(柚木麻子)

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ランチのアッコちゃん3時のアッコちゃんに続く、人気シリーズの第3弾です。今回は4編すべてに、アッコさんがフル登場。「永遠の弟子」である澤田三智子の成長ぶりも見ることができます。

「幹事のアッコちゃん」
ダメ派遣社員だった三智子は、商社の正社員となって溌剌と仕事をしています。妙に冷めていて人付き合いの苦手なサトリ世代の男性新入社員を連れて来た場所は、やはり第1作に登場した玲実が経営する、屋上ビアガーデン。そこに現れたアッコさんが、忘年会の幹事を嫌がる新入社員を連れまわしたのは、5日連続の忘年会でした。まずは、幹事自身が楽しむことが重要なのです。

「アンチ・アッコちゃん」
ネットサイトの女性記者がアッコさんに敵意を抱いているのは、サイトに紹介されるアッコさんのマネをしても、ことごとく裏目に出てしまったから。そんな彼女が見たのは、風邪をひいて弱っているアッコさんの姿でした。なぜかアッコさんの世話をすることになった記者は、かつての自分が表面だけマネしていたことに気づきます。しかし、最初に書いた悪意ある記事が公表されてしまい・・。

「ケイコのアッコちゃん」
商社でバリバリ働き、結婚もした三智子ですが、時間がいくらあっても足りません。アッコさんは、そんな三智子を5日連続でお稽古ごとにつきあわせてしまいます。「無駄なことをたくさんしているから、豊かな時間を過ごせる」というのは逆説めきますが、事実だと思います。スマホがエンデの『モモ』に登場する「時間泥棒」という発想も、そのとおり。

「祭りのアッコちゃん」
経営企画部門に配属された三智子に任されたのは、なんとアッコさんが立ち上げた「東京ポトフ&スムージー」の買収でした。三智子は、お盆休みの4日間、各地のお祭りに出かけてアッコさんの新規イベントを手伝うなかで、彼女の真意を理解するのです。そして後顧の憂いなく事業を手放したアッコさんは、世界へと・・。

三智子が成長したことで、このシリーズもこれで最後なのでしょう。でもアッコさんに背中を押して欲しい人は、世界中にまだまだたくさんいると思いますよ。

2017/9