りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

GOSICKs 4 冬のサクリファイス(桜庭一樹)

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世界が「2度目の嵐」に襲われる予感が強まっていく中で、聖マルグリット学園ではクリスマスの行事である「リビング・チェス大会」が開催されます。要は人間がチェスの駒を演じる「人間チェス」ですね。最後の平安な一日に、今まで積み残されてきた小さな謎が解かれていきます。

「白の女王は君臨する」
白の女王は、グレヴィールが愛していた天真爛漫なジャクリーヌ。獣医殺害の疑いをかけられたジャクリーヌを救うため、グレヴィールは異母妹のヴィクトリカに助けを求めます。謎解きの鍵は「鏡文字」でした。この事件が、奇妙なリーゼントのきっかけだったのですね。

「黒の僧侶は祈りを捧げる」
黒の僧侶はセシル先生。実業家の息子は誘拐されたのか、神隠しにあったのか。謎解きの鍵は「受胎告知の絵画」でした。この事件が、グレヴィールの助手であるイアンとエバンが手をつなぐ理由だったのですね。

「黒の女戦士は駆け抜ける」
黒の女戦士は美少女アブリル。問題になったのは、亡くなったビスクドール人形師の遺産相続権。謎解きの鍵は人形師が死んだ場所と時間でした。グレヴィールのビスクドール収集癖が、ここから始まったのかどうかは定かではありませんが・・。

「騎士はちいさな姫にかしずく」
騎士は留学生の一弥。ヴィクトリカの父親・ブロワ侯爵が片目を失った理由が語られます。塔に監禁されていたコルデリアを、ブライアン・ロスコーはどのように救出したのでしょう。しかし、生まれたばかりの娘ヴィクトリカは後に残されたのです。

しかし、「リビング・チェス」は誰と誰が指していたのでしょう。チェスを学んで「チェスとは、じつに手の込んだ知性の浪費法だな」と語ったヴィクトリカではありませんね。神の指し手によって運命を左右されるのは、人間たちなのですが・・。

2017/6