りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手

イメージ 1

新聞連載エッセイを単行本化したシリーズも、もう14巻になりました。対象となっているのは、2014年10月〜2016年5月まで。冒頭の「脚本家53歳の物思い」でいきなり、面倒ジジイになりつつあることを実感した日々の戸惑いをぼやいていますが、仕事量は落ちているどころか、むしろ増えています。

舞台では「シャーロックホームズ(山寺宏一)」、「紫式部ダイアリー(長沢まさみ斉藤由紀)」、「吉良ですが、なにか?(伊藤四朗)」、「田茂神家の一族(佐藤B作)」、「burst!~危険なふたり(草薙剛、香取信吾)」。映画では「ギャラクシー街道(香取信吾、綾瀬はるか)」。テレビドラマでは「オリエント急行殺人事件(野村萬斎、松島奈々子)」、そして大河ドラマの「真田丸」。本書のタイトルや武者姿の表紙絵は、真田父子をイメージしたものなのでしょう。

過去の名優・名画について触れているのも、このコラムの特色ですが、今回は「アラモ」の見比べが印象に残りました。荒唐無稽だが登場人物のキャラが立っている1955年のジョン・ウェイン版のほうが、その後の史実に忠実な作品よりも圧倒的に面白いそうです。

以前はネタに困ったときはペットの話が登場していましたが、今では1歳~2歳期の息子の話がときおり登場。かなりの親ばかぶりをみせつけてくれます。2歳児がチャップリンの面白さをわかるのかどうか・・微妙。

ギャラクシー街道」に関しては「密室論」を展開。密室劇を舞台にかけるのは好きではないそうです。密室でないところで密室感を出す工夫が重要なんですね。宇宙空間における密室とは、壮大なものです。「SF映画でハリウッドに対抗しても勝ち目はなく、アイデアとセンスで立ち向かうしかない」のですから。でも、「ゼロ・グラビティー」を見ちゃったからなぁ。

この期間の最大の仕事であった「真田丸」に関するエッセイも多数登場。印象に残ったのは「時代劇らしい言葉」に関する1章。誰も話し言葉を聞いたことがないのに、「らしい」とか「らしくない」というのは、「これまでの時代劇と違う」ということにすぎないのではないか、と述べています。確かに、実際の歴史上の人物がいつも堅苦しく話していたわけではないですよね。

そして時節柄「SMAP論」が登場します。5人とも素晴らしいけれど、素晴らしい人物はショービズ界には山ほどいて、SMAPの凄さは「そんな奴らが5人も揃っていること」だというのです。だから「SMAPは存続すべき」と言っていたのですが、残念でした。

2017/5