りぼんの読書ノート

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リバース(五十嵐貴久)

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著者のデビュー作である『リカ』はホラーサスペンス大賞受賞作であり、苦手なジャンルなので未読のままでした。読み始めてから気付いたのですが、本書は「最恐のストーカー・リカ誕生物語」だったのです。裏表紙の内相紹介をちゃんと読んでおけば、手を出さなかったのに・・。

語り手は地方の高校を卒業して、東京で家政婦として住み込みで働くことになった幸子。家政婦という職業が一般的であった時代というと、1960~1970年の頃でしょうか。ところが、幸子が入った雨宮家は、とんでもない問題家庭だったのです。

医師の父親、美しい母親、高貴なまでの美貌を振りまく双子の姉妹の梨花と結花。一見すると非の打ち所のない家族であるのに、内情はひどいもの。経営困難に陥っている医院、浮気癖のひどい父親、世間体を気にして感情にムラがあり娘たちを虐待する母親、妹を家来扱いする姉。

そして不思議な事件も次々と起こっているのです。突然失踪した前任の家政婦、行方不明になった愛犬、やはり失踪したピアノ教師、不審火で焼死した家庭教師、妹・結花の謎の病気・・。純朴な幸子は、虚飾の裏に潜んでいるものをなかなか見抜けないのですが・・。

「リカ誕生物語」なので結論はわかっています。途中まで母親を犯人と思わせるミスリードは役に立っていないし、物語の展開に意外性もありませんでした。

2017/5