69歳のフィリスは、夫の死を機に、余生をすごすはずだったフロリダからニューヨークに戻ることを決意。この知らせに動揺したのが、ともにニューヨークで暮らしている3人の子どもたち。独身で落ち目のキャリアウーマンである長女シガニー。仕事がうまくいっていないゲイの弟ブルース。失業中の夫といさかいの絶えない超肥満の末っ子シャロン。
自分の問題で手いっぱいで、口うるさい母親を受け入れる余裕のない子どもたちが計画したのが、母親を金持ちの老人と結婚させてしまうこと。かくして「玉の輿作戦」が始まるのですが、フィリスに寄ってきたのは破産寸前の詐欺師のようなのです。
本書の出版時は40代だった『第一夫人同盟』の著者が、主役としておいたのは、もちろん長女のシガニーです。キャリアウーマンとしての困難な道のり、心の通い合わない男たちとのつきあい、父親の死、弟の倒産、妹の困窮、そして母の上京。それらすべてに対処してきた彼女に、著者はどんな結末を準備したのでしょうか。
母親の友人まで含めて登場人物全員が、おさまるところにおさまるというバリバリのハッピーエンドなのは、映画化を意識したからというよりも、それが著者の望むところだからなのでしょう。
2017/5