りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

GOSICK(桜庭一樹)

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時代は1924年。舞台はヨーロッパの架空の小国ソヴュール。どうやら、フランスとイタリアの間に海岸を有し、内陸部はスイスとも接しているという細長い国のようです。極東の島国から聖マルグリット学園に留学してきた帝国軍人一家の三男・久城一弥が、図書館塔に閉じこもる謎のゴスロリ美少女・ヴィクトリカに出会ったところから、物語が始まります。

10年前に第一次大戦の勃発を予言した占師ロクサーヌが変死。安楽椅子探偵状態で謎を解いたヴィクトリカと一弥は、ロクサーヌに代わって豪華客船に乗船したところ、本物の殺人事件に遭遇してしまいます。しかもその船の名前やさまざまな仕掛けが、同級生アブリルが一弥に語っていた幽霊船と同じなのです。そして10年前の事件を知っているという男がつぶやいた「野兎走り」とは何のことなのでしょうか。やがて、彼らにも危機が迫るのですが・・。

いつも退屈していて、一弥が集めてくる「混沌の欠片」を溢れる「知恵の泉」で再構成するものの、その結果を「言語化」することは稀だというヴィクトリカは、ホームズをはじめとする有名探偵たちを一身に具現化したような存在ですね。一弥はワトソン役ですが、それにとどまらないようにも思えます。どことなくダークな事件は、ポーのことも連想させてくれます。

ハンサムながら奇妙なヘアスタイルをしているグレヴィール・ド・ブロワは、典型的なダメ警部。しかし彼は貴族の御曹司で、ヴィクトリカは妾腹の妹なのです。彼女の出生の秘密や、普段は図書館塔に閉じこもっている理由などは、これから明らかになってくるのでしょう。

著者の直木賞受賞でいったん中断されたものの、2003年から現在まで外伝を含めて17作品が書き続けられている長いシリーズです。ゆっくり読んでいきたいと思うのですが、一気読みしてしまうかも?

2017/1