りぼんの読書ノート

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陰陽師 鼻の上人(夢枕獏)

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宇治拾遺物語に題材をとった芥川龍之介の『鼻』を、陰陽師の世界に持ち込むとどうなるのでしょう。陰陽師シリーズ」の記念すべき100本めは、村上豊さんの挿画が美しい絵物語として出版されました。

善智内供奉の奇妙な鼻の悩みを解決しようと、蘆屋道満が登場。巨大な鼻の中には99匹の虫が潜んでいたのですが、その正体は何なのでしょう。また、その数には意味があるのでしょうか。

一方で安倍清明源博雅は、琵琶の名器・牧馬が鳴らなくなったことについて、帝から相談を受けていました。その背後には、象頭人身の聖天と、その乗り物であるネズミの無子訶が抱えていた問題があったのですが、まさか「鼻」と「琵琶」が「神護寺の百仏堂」で繋がるとは! 第100話なので、百にちなんだ話だったのですね。

そういえば、シリーズ第1話は「玄象という琵琶 鬼のために盗らるること」でした。清明と博雅が羅城門の鬼から琵琶の名器を取り戻した話なのですが、そちらとも「琵琶つながり」とは、凝っていますね。

2016/12