りぼんの読書ノート

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三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫

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新聞連載エッセイを単行本化したシリーズも、もう13巻になりました。対象となっているのは、2013年後半~2014年前半までの期間です。

あいかわらず、すごい仕事ぶりです。映画「清州会議」の公開や、2016年の大河ドラマ真田丸」の執筆決定に加えて、「ロスト・イン・ヨンカーズ」、「声」、「大空港2013」、「国民の映画(再演)」、「酒と涙とジキルとハイド」、「抜け目のない未亡人」、「君となら(再演)」、「ショーガール」と、次々と舞台をこなしています。前巻の時期に再婚したお相手との間にお子さんが生まれていますが、その辺はサラッと。また、得意のペットネタも、新しく飼いはじめたプチブラバンソン犬の兄弟の話題が2回だけ。

興味深かった話をメモしておきましょう。
・「父性」に対する「おじ性」という発想。父親のような責任を持たず、ためにならない面白いことを甥や姪に教えるのが叔父の役割だそうです。

三谷映画の特色には「廊下の場面」があるという、映画美術監督種田陽平氏の指摘。舞台演劇における「幕間」のような感覚でしょうか。

・ありふれたストーリでも「夫と妻の設定を入れ替える」だけで凄味が出てくるという、スティーヴン・キングの教え。「元妻を付け狙うDV夫」の男女を入れえ替えてみれば、効果は歴然ですね。

・天才女優の大竹しのぶさんの唯一の弱点は、ダンスではないかという「発見」。

・はじめて一緒に仕事をした、秋元才加さんや優香さんにコメディエンヌの資質を感じたこと。三谷さんの指摘は意外と当たるのです。

ただ、このシリーズを面白くしていたのは、元妻の小林聡美さんの存在だったのではないかということを、あらためて感じた次第です。

2016/12