りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2016/11 ブラインド・マッサージ(ビー・フェイユイ)

今月は、シリーズの途中とか上巻だけとか、読み切っていない作品のほうに秀作が多かったようです。まとめて次点に入れておきました。最終評価は最後まで読んでから。
1.ブラインド・マッサージ(ビー・フェイユイ)
ブラインド・マッサージ」とは、盲人によるマッサージのこと。南京のマッサージ店で働く盲目のマッサージ師たちの群像劇は、中国でベストセラーとなり、映画化もされました。健常者と比較して貶めることも美化することもなく、視覚障碍者たちの恋愛感情や人間関係や金銭の悩みなどを、個性豊かに描いた作品です。

2.いのちなりけり(葉室麟)
佐賀藩出身の男女が数奇な運命に翻弄されながら再会を果たす物語」である本書は、「葉隠」成立に至る「前史」ともいえそうです。「葉隠」の有名な言葉である「武士道とは死ぬことと見つけたり」と「忍ぶ恋こそ至極の恋」という2つの精神が、本書の中で見事に融合しているのです。花や散るらんは、本書の続編にあたります。

3.ペルーの異端審問(フェルナンド・イワサキ)
リマ生まれの作家・歴史学者である著者が、本国スペインよりも苛烈であったという南米ペルーの異端審問の裁判記録からピックアップした物語群は、人間の愚かさと欲望の醜さを笑い飛ばします。ただ、西洋人の差別意識が透けて見えるような事例が出てくると、笑ってばかりもいられません。



2016/11/29