りぼんの読書ノート

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万華鏡の迷宮(J・ロバート・ジェインズ)

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「ナチ占領下のフランス。そんな異常な世界でも犯罪は起き、それに立ち向かう者たちがいる」のは当然なのでしょうが、事件の捜査に派遣されたのは、生粋のフランス人警部サンシールとゲシュタポの鬼刑事コーラーという異色コンビ。シリーズ化されているようですが、知りませんでした。

ナチ占領下のプロヴァンスで、石弓によって女性が殺害されるという事件が発生。現場に残された手がかりはレジスタンスの関与を指しているかに見えたのですが、それはカムフラージュ。事件の鍵は被害者の過去にあると見て捜査をはじめた2人でしたが、そこにゲシュタポが関与してきます。レジスタンス勢力を一掃するために村民の大虐殺を主張するゲシュタポに対して、2人は事件の真相を明かすことができるのでしょうか。

設定はともかくとして、かなり詰め込み過ぎでした。レジスタンスの爆弾で妻子を殺されたというサンシール警部の過去は実はゲシュタポの陰謀だったとか、コーラーの息子がスターリングラードに派遣されているなどの主人公の背景。フランス警察の名刑事でありながらゲシュタポの手先になったデルファーヌ捜査官とか、ドイツ国防軍防諜部の関わりなどは、事件の真相とはほとんど関係ないのですから。

真相は、ある不幸な家族に起こった愛憎劇だったとだけ、言っておきましょう、これがまたドロドロで凄いのですが・・。

2016/10