りぼんの読書ノート

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星影の娘と真紅の帝国(レイニ・テイラー)

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シリーズ第1巻煙と骨の魔法少女の続編です。自分の「前世」を知ったプラハの女学生カルーは、そのあまりの罪深さに慄きました。カルーの前身であったマドリガルが、宿敵・天使族のアキヴァと愛し合ったことが、キメラ族の敗北と虐殺の端緒となっていたのです。

養父ブリムストーンから蘇生術を学んでいたカルーは、贖罪のため、人里離れた廃墟の城塞で、仲間のキメラを蘇生させる仕事に取り組んでいます。かつてマドリガルに袖にされた新リーダーのシアゴは、カルーに対して愛憎半ばする想いを抱いているのですが、蘇生の魔法を使えるのはカルーひとりですので、彼女を使わないわけにはいきません。しかし再編した戦力はあまりにも僅かであるため、シアゴは無差別テロに走っているようです。

勝ち誇った天使たちは、キメラ族が棲む奥地へと軍を進めます。非戦闘員キメラを虐殺から救おうとしていたアキヴァは、ついにクーデターを決意。しかし、実父である皇帝ジョラムの暗殺は、より悪逆な皇弟ジャイエルに利用されただけでした。そして新皇帝となったジャイエルは、強力な武器を保有している人間界への侵攻を試みるのです。

ラストになって、物語は新展開へと突入しました。未曽有の危機の中で、ついに再会を果たしたカルーとアキヴァは、キメラ族と天使族を繋ぐ架け橋になれるのでしょうか。そして人間界は、突然現れた天使たちにひれ伏してしまうのでしょうか。なかなか壮大な展開になってきました。未完に終わった石ノ森正太郎さんのサイボーグ009 天使編の匂いすら感じられます。カルーの親友で普通の人間のズザナも、大きな役割を担いそうです。

2016/2