りぼんの読書ノート

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悲嘆の門 上(宮部みゆき)

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中途半端に「上巻」だけのレビューを書いてしまうのは、「下巻」をいつ借りられるのかわからないからです。相変わらず宮部さんの人気は凄いですね、図書館の予約に出遅れると、恐ろしいほどの順番待ちになってしまいます。

本書は英雄の書の続編にあたり、そこで主人公であった森崎百合子も登場してきますが、同じ世界観の下に綴られた別の物語といってよいでしょう。

本書の主人公は、大学1年生の三島孝太郎。大学生活には熱が入らなかったものの、ネット監視会社で始めたサイバー・パトロールのアルバイトに、やりがいを感じ始めています。そんな折、死体の一部を切り取る殺人事件が散発的に発生。連続殺人を犯すサイコキラーが潜んでいるのでしょうか。一方で、西武新宿線の沿線付近のホームレスが失踪する事件も起こります。

事件の捜査を始めた友人までもが失踪してしまい、彼の行方を捜し始めた孝太郎は、廃墟ビルの屋上で、恐るべき怪物と遭遇。しかし、その怪物はなぜか孝太郎に謝るのです。やがて、悲惨な事件に対する義憤に駆られた孝太郎は、怪物に助力を求めるのですが・・。

物語は動き出していますが、さまざまな事件はまだ結びついてはいませんし。もちろん真相も闇の中です。いずれ「英雄の書」が関わってくるのでしょうが、本書でも「英雄」になろうとしている人物が現れるのでしょうか。そしてそれは、孝太郎なのでしょうか。下巻が待たれます。

2015/10