りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

カレイドスコープの箱庭(海堂尊)

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チーム・バチスタの栄光に始まる一連のシリーズの最終章と位置付けられている作品です。

シリーズ前作ケルベロスの肖像においてAIセンターは炎上してしまったものの、むしろAI(死亡時病理診断)の認知度は上がったようです。相変わらず高階病院長に無理難題を押し付けられている田口医師の次のミッションは、AI国際会議の開催でした。AIに対してそれぞれに思惑を持っている国内各勢力の意見を纏めるより、「グローバル・スタンダード」を作ってしまったほうが早いというのは、残念ながら正しいのでしょう。しかし、田口にそんなことができるのでしょうか。

さらに、肺癌患者が手術時に死亡した原因が、病理医の誤診ではないかとの疑惑の調査も依頼されてしまいます。呼吸器外科や病理検査室などの医師や技師たちへのヒヤリングを開始した田口でしたが、事件の真実は万華鏡のように、見る角度によって形を変えていくようです。そこに割り込んできたのは、もちろん厚生労働省の「ロジカルモンスター」こと白鳥です。かくして凸凹コンビの最後の活躍が始まるのですが・・。

「ミスター・パーフェクト」桐生、「ジェネラル・ルージュ」速水、「オリエント・エクスプレス」東堂、「スカムラージュ」彦根、「ゲーム理論学者」曾根崎など、懐かしいメンバーも総出演。ラストは唖然とするほど、あっけない謎解きでしたが、最終巻にふさわしい作品になったと思います。巻末には、「海堂ワールド」を俯瞰できる「主要登場人物相関図」や「全登場人物表」などが収録されています。

2015/10