りぼんの読書ノート

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あまからカルテット(柚木麻子)

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奥手なピアノ講師の咲子、ずっと成績優秀で編集者となった薫子、美女でデパート美容部員の満里子、専業主婦で料理上手な由香子。容姿も性格も生活環境もバラバラなのに、中学時代から仲の良い、4人のアラサー女性の友情物語です。

特技を持っているというのは、いいですね。稲荷寿司、甘食ハイボール、ラー油、おせち・・と、「美味しいあまから」がテーマですが、活躍するのは由香子だけではありません。咲子はピアノ曲から由香子の幼馴染を探し出し、満里子は化粧道具持参で落ち込んだ友人を綺麗に変身させ、薫子は雑誌の取材を隠れ蓑にして情報取集。何より4人とも、美味しいものが大好きなのです。

極め付けは最終話の「おせち騒動」。それぞれ得意なおせちを作って、嫁姑関係に悩む薫子を助けようとするのですが、それぞれ自分の特技が仇になってトラブルに落ち込んでしまいます。もちろんハッピーエンドになるのですが。それぞれ、自分の力でなんとかしようと努力し、それでもダメなときは友人の助けを受け入れる自立した女性たちでありながら、4人の個性が描き分けられています。

解説で酒井順子さんが言っているように、「女の友情ストーリーが最も激しい転調を迎えるのは、これから」なのでしょう。「誰かが出産して子育て期に入ると、足並みは急激に揃わなくなってくる」のかもしれません。それでも、 そんな時期にはソロとしての腕前を磨いておけば、またカルテットとして「芳醇なハーモニーを響かせるに違いない」のでしょう。

女性はもちろん、男性が読んでも元気が出る本です・・たぶん。

2015/7