りぼんの読書ノート

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理系の子(ジュディ・ダットン)

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毎年5月にアメリカで開催される「国際学生科学フェア」で、今年はじめて4組もの日本人高校生が優秀賞に入賞したとのこと。専門家を凌駕するハイレベルな研究も多く、過去の出場者からは7人ものノーベル受賞者が出ているすです。本書は、2009年度大会の出場メンバーを取材して、「科学の背後にあるドラマ」に迫った作品です。

10歳の時から爆薬に興味を持ち、ついに「核融合炉」の製作に挑んだ少年。ハンセン病への感染にめげず、らい菌の徹底研究を開始した少女。難病に罹った父親を癒すべく、大好きな馬を使ったセラピーに挑んだ少女。化学企業城下町で、排出される化学薬品のミツバチへの影響を調べ始めた少女。喘息を患う妹のために、廃品からソーラーシステムを作り上げた少年。ナノテクに関連した発明をもとに会社を設立し、「第2のビル・ゲイツ」と呼ばれている少年・・。

もちろん「ドラマ部分」も面白いのですが、たいていの場合、それは研究を始めるようになったきっかけにすぎません。何より感動的なのは、興味を抱いた分野で研究を進めていく「理系の子」たちの情熱と真摯な姿勢なのです。未知なるものへの関心と探究こそが科学の原点なのだと、あらためて気づかされます。

巻末には、有孔虫の化石から太古の地球環境を解明する」とのテーマで、2011年大会で優秀賞を受賞した日本の少女の寄稿とインタビューもついています。日本の「理系の子」たちも、負けていません。

2015/6