りぼんの読書ノート

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スプライトシュピーゲル3(冲方丁)

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民族主義の残渣と、国連組織経由で持ち込まれた世界中のテロが交差する近未来都市ウィーン。超少子高齢化を背景とした児童労働の許可と、重度身体障害者に機械化四肢を与える福祉政策の融合によって生まれた「炎の妖精たち」シュピーゲル

シリーズ第3作は、24時間以内の解決が必須課題となったノンストップアクションです。まあ、毎回そうですが。内務大臣を含む大量暗殺計画。極秘で開発されたものの危険すぎて廃棄された遠隔操作式ウィルス。謎の「リスト」を求める、かつて「山猫:ヴィルトカッツェ」と呼ばれた国境警備部隊の残党たち。サーバー汚染による「妖精たち」への転送凍結。なんとまあ盛りだくさんなこと、

その中で明らかになる内部通敵者の存在。ウィルスに感染しながら戦い抜く、シュピーゲル小隊長の鳳(アゲハ)と、指揮官のニナ。そして全ての企みを背後で操る悪の組織「プリンチップ」。その秘められた目的は「都市内での転送施設の構築」であり、レベル3の「特甲猟兵」の取り込みだったのですが・・。

本書で意外な活躍を見せたのが、セクハラ魔の転送官・水無月でした。無垢な天才少年・冬馬とペアを組んで、情報汚染の原因を突き止め、ウィルス解除コードの解析をおこない、意外な内部通敵者と対峙するのです。まあ、そのエネルギーはすべて「鳳(アゲハ)への思い」なんですけどね。

さぁ、いよいよ次は再びオイレンシュピーゲルと連動するシリーズ最終巻です。

2014/10