りぼんの読書ノート

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暗くなるまで贋作を(ヘイリー・リンド)

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伝説の贋作師ジョルジュ・ルフルールを祖父に持ち、サンフランシスコで「疑似塗装師」の仕事に携わるアニー・キンケイド。彼女を主人公とするアートミステリの第1作ではカラヴァッジョ、第2作ではシャガールの贋作が登場しましたが、今回の第3作で問題になるのはイタリアの至宝であるラファエロ作「ラ・フォルナリーナ」。タイムリーなことに、5/17放送の「美の巨人たち」で、この絵が特集されていました。

オークランドの納骨堂にある壁画を修復中、納骨堂内にラファエロの真作があるとの噂を聞いたアニー。祖父がかつて贋造したことがある名画ですが、真作はイタリアの国立古典絵画館にあるはずで、まさかこんな所に。しかしアニーが調査を始めると、噂の源であった女子大学院生は死亡。ラファエロの模写が飾られていた場所にはデジタルコピーが。どうやら、墓地の再開発の話も絡んでいそうなのですが・・。

このシリーズは、本筋のミステリよりもサイドストーリーのほうが楽しいですね。アニーをめぐる三角関係にも進展がありました。アニーが選ぶのは、元絵画泥棒マイケルなのか。それとも、運送業を営んでいて当局とも関係のあるフランクなのか。職業もキャラもまるで正反対なので、この選択が人生を左右しそうです。

一方で、祖父を目の仇にしている贋作撲滅師〔フェイクバスター〕も登場。この男ドナート・サンディノと祖父の間には因縁もありそうなのですが、この話は、次巻以降で進展するのでしょうか。ただ、ストーリーのドタバタ感が、巻を追うごとに激しくなっているのが気にかかります。

2014/6