りぼんの読書ノート

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魔女の宅急便6(角野栄子)

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本書が出版されたのは2009年。第1作から25年後のこと。ジブリ映画の公開からも20年後。第5作でとんぼさんと結婚したキキは30代になり、いまや双子の母親です。そして双子が13歳を迎えようとしています。新米魔女が家を出て独り立ちしなくてはならない年齢です。

「魔女の子は魔女」と思い込んでいたキキにとって意外だったのは、双子が男女だったこと。姉のニニはお転婆で移り気で、なかなか魔女になる決心がつきません。一方で弟のトトは魔女になりたくてもなれないのです。本書は、そんな姉弟のささやかな成長物語。

トトは黒猫ベベの言葉をわかるようになりますが、やはり魔女にはなれません。ほうきで飛ぶ練習をしても堕ちてしまいます。昔息子をなくしたヨモギさんや、君にも隠れた名前があるはずだというおじいさんに出会った後でめぐりあったのは、音楽でした。遠くの町に住んでいるキキの友人で半分魔女のケケに会いに行った際に、不思議な少女と出会います。

ニニは周りの友人たちが真剣に進路を考えていることを知って焦ります。少女時代のキキとそっくりなのに、自転車こぎ姿でないと空を飛べないんですね。彼女の旅立ちの写真を撮りたいという女性写真家のハリンに出会ったりもしますが、ニニにとっての試練は、嵐の日に難産を迎えた母馬を助けることでした。やがて双子は13歳となり、旅立ちの日を迎えます。

シンプルなのに暖かみを感じる文章は第1巻の時から変わっていませんし、ゆっくりと成長していく双子の描写にぴったりです。

2014/6