りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

混沌ホテル(コニー・ウィリス)

イメージ 1

「ベスト・オブ・コニー・ウィリス」として、中短編のヒューゴー賞ネビュラ賞受賞作品ばかりを集めた企画ものです。本国では1冊なのですが、日本では「ユーモア編」の本書と「シリアス編」の空襲警報の2分冊となっています。

「混沌ホテル」
ハリウッドのとあるホテルで開催された国際量子物理学会で起こる騒動は、まるで「量子論の世界」。波動関数観測問題多世界解釈・・。このようなことが現実世界で起きたら、ホテルの予約は確認するまでわからなかったり、ランチの約束をしても出会えなかったり、講演会場には行き着けなかったり、次々と騒動が起こってカオス化してしまうのです。

「女王様でも」(既読)
娘が「サイクリスト」になってしまう! 自転車同好会ではありません。女性たちがようやく廃絶に成功した生理をあえて復活させる集団が、まるでいかがわしい信仰宗教団体のように描かれます。

「インサイダー疑惑」(既読)
インチキ霊媒師やエセ超能力者を糾弾する雑誌編集者と美人助手が出会ったのは、20世紀初頭の大懐疑主義者ヘンリー・ルイス・メンケンの霊に取り付かれて、自分の降霊術をインチキよばわりする霊媒師。これは新手の宣伝なのか。それとも・・。メンケンの霊の信憑性と、霊媒師の詐欺行為を同時に伝えるという、ジレンマへの挑戦は成功するのでしょうか。

「魂はみずからの社会を選ぶ」
エミリー・ディキンスンの詩を解釈していくと、ウェルズの宇宙戦争の世界が魔法のように現れてきます。これは宇宙人の侵略と撃退を謳いあげた叙事詩だったのでしょうか。

「まれびとこぞりて」
宇宙人とのファースト・コンタクトは意外な形で行われました。地球の代表団をただにらみつけるだけのエイリアンとの交流は可能なのでしょうか。ヒントはクリスマス・キャロルと、怖い伯母さんの態度にありました。それにしてもクリスマス・ソングの内容は物騒なんですね。

2014/6