りぼんの読書ノート

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怪獣記(高野秀行)

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誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く」をモットーとしている「辺境作家」を自認する著者が2006年に挑戦したのが、トルコ東部のワン湖に棲息するといわれる怪獣ジャナワール調査です、

怪しいビデオから始まった調査は、48名もの目撃者の個人情報(!)が記載された著作にたどり着きます。トルコで訪ねた著者はイスラム復興主義の活動家。現地でジャナワールと口にすると、誰もが笑い飛ばす。それもそのはず、ビデオ映像がイカサマであることは周知の事実で、製作者は行方不明。どうやら、現地近辺でくすぶっているクルド人問題から目をそらすための「話題作り」としての怪獣騒ぎだったようなのです。

しかし、高野さんはめげません。ジャナワールが「既知の未知生物」から「未知の未知生物」に変わっただけ、すなわち普通のUMA(未確認動物)調査になっただけというのです。そしてそれまでにも増して精力的に調査を進めた結果、最後に不思議な現象を目撃するに至るのです。果たして・・。

早稲田大学探検部時代にコンゴの未知動物を追ったデビュー作幻獣ムベンベを追え以来、得意としているUMA(謎の未確認動物)探索ものですが、いつも本気なのがいいですね。存在が確認されたUMAこそいませんが、調査プロセス自体がドラマなのです。

2014/6