りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ベヒモス(スコット・ウエスターフェルド)

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20世紀初頭の世界を舞台にした「スチームパンク・ロマン」のシリーズ第2弾。イギリスなど遺伝子操作技術を駆使する「ダーウィニスト」国家群と、ドイツなど機械工学を発展させた「クランカー」国家群の世界大戦において、オスマン・トルコ帝国の行方が焦点となってきました。

ロシア国境を守る戦闘熊たちへの支援食料輸送路を握るトルコが、急速に親ドイツ化しつつあったのです。英国海軍が誇る巨大飛行獣リヴァイアサンは、皇帝説得の使命を帯びたノラ博士(ダーウィンの孫娘)を乗せてイスタンブールへと向かいます。

微妙な立場でリヴァイアサンに同乗していた、亡きオーストリア大公の息子アレックはイスタンブールで逃亡。オスマン帝国からの独立を目指す諸民族連合の革命派に救われて、行動をともにします。イギリス海軍の男装の士官候補生デリンは、極秘任務を受けてイスタンブールに潜入するのですが・・。

ダーダネルス海峡制海権を争う英独の戦闘が、イスタンブールでの革命と連動して進んでいきます。アルメニアユダヤギリシャ、アラブ、クルド・・。被抑圧民族が独自に保有している戦闘ウォーカーがいいですね。ドイツ軍が密かに建設を進める超兵器テスラ・キャノンを巡る攻防が本書のクライマックス。もちろんデリンとアレックの友情(?)が鍵になるのですが、鈍いアレックはまだデリンが女性であると気づいていません。

ところで、ノラ博士が持参した卵から生まれたのは「知性ロリス」でした。誕生時に立ち会ったアレックを母親と認識して行動をともにするようになるのですが、この後の展開にどう関わってくるのでしょう。

2014/3