りぼんの読書ノート

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こいしり(畠中恵)

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町名主の跡取り息子の高橋麻之助と悪友たちのお江戸青春ミステリーまんまことの第2弾。

前作で「偽りの婚約」を交わした寿ずと結婚することになってしまった麻之助でしたが、祝言の日に、悪友・清十郎の父・源兵衛が卒中で倒れてしまいます。病床にある堅物の源兵衛から「かつて訳ありだった2人の女性の境遇を確かめて欲しい」と頼まれるのですが、その顛末は?

化け猫騒ぎのせいで引き取り手がいなくなった子猫を預かったり、お守りを落したという人物が2人現れて裁定することになったり、病気で余命1年と宣告された堅物の商人から遊びの案内役を頼まれたりと、ゆるい事件が続きますが、百物語の会を悪事に利用した者たちを懲らしめる話はしゃばけの著者らしく不思議な物語。

祝言こそ流れてしまったものの、麻之助と寿ずは無事に夫婦になれたようです。しっかり者で利発な寿ずですが、ちょっと嫉妬深いところがありそう。反古紙に書かれた恋文を麻之助が出したものと勘違いをして、いきなり別れ話を持ち出してしまうのですからね。その恋文に秘められていた哀しい物語を解き明かした2人の関係は固まったのでしょうか。

でも麻之助が、清十郎の若い継母のお由有さんに抱いていた淡い恋心は消えてはいないようですから、お寿ずちゃんの嫉妬も根拠がなかったわけではありません。続編ではどのような展開になるのでしょう。畠中さんの小説は軽いようでいて、時々「大化け」する作品もありますので、気を抜いてはいけません。

2013/10