りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2012/8 存在の耐えられない軽さ(ミラン・クンデラ)

カラマーゾフの兄弟』を再読しましたが、さすがにこれは別格ですね。やはり再読ですが、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を1位にあげておきましょう。新作では、リュドミラ・ウリツカヤさんの軽妙な作品が印象に残りました。

大阪に引っ越してから、新作を手にするタイミングが遅くなっています。検索が不便で予約しにくく、予約した本がなかなか回ってこないんです。これまで住んでいた浦安の図書館システムが素晴らしかったことを、あらためて認識させられました。
1.存在の耐えられない軽さ(ミラン・クンデラ)
「たった1回の人生の限りない軽さは耐え難いのだろうか」との疑問を投げかけた上で、「本当に重さは恐ろしく、軽さは美しいのだろうか?」との問いかけはいきなり読者を身構えさせてしまいますし、「プラハの春」とその崩壊後の時期を背景とした本書は、いかにも政治的なメッセージを含んでいるようです。しかし本書の本質は、男女間の愛情の機微を歌い上げた「恋愛小説」なのでしょう。主人公の浮気男トマーシュにとって、テレザとサビナがそれぞれチェコと西欧を体現する存在であるとの解説も否定できませんが・・。

2.女が嘘をつくとき(リュドミラ・ウリツカヤ)
女はなぜ無意味な嘘をつくのでしょうか。しかしその嘘は本当に無意味なのでしょうか。聡明ながらお人よしの女性・ジェーニャが人生の時々に出会った「嘘つきの女たち」を描いた連作短編は、軽い読み物のようでいて、最後に大きな衝撃がやってきます。著者独特の方法で人生というものを切り出した作品なのでしょうが、ソ連崩壊をはさむ変革期のロシアを生きた女性の姿が浮かび上がってくるようにも思えます。



2012/8/31