世良の経営方針は明快です。献身的な産科医師・三枝の逮捕もあったため救急患者の受け入れを全面拒否。人員削減、薬剤費抑制というコスト削減を徹底的に取り進めるのです。しかし、医療費未払いであるために診療を拒否した患者が急死したことからマスコミから叩かれてしまいます。
一方、極北市の救急医療を引き受けた隣市の救命センターには、あの速水が副センター長として着任しており、『ジェネラル・ルージュ』で主張していたドクターヘリの配備が実現していました。さらに次のステップとして、ドクタージェット構想も進んでいたのです。
財政破綻した病院の再建過程と、ドクターヘリによる救命医療の最前線という、2つのテーマを描いた作品ですが、花房看護師の「恋のゆくえ」までしっかり織り込んでいただきました。姫宮が登場しなかったのは残念ですが・・。
「極北シリーズ」は、この作品で終了とのことです。現代日本の医療問題にメスを入れ続ける著者の視点は、どこに向かうのでしょう。
2012/4