りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

トワイライト・テールズ(山本弘)

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MM9の外伝的な短編を集めたものですが、本書の舞台は日本だけでなく、怪獣と人間の「交流」をテーマにした作品が中心になっています。

「生と死のはざまで」
怪獣によって倒壊したビルの地下に女性自衛官と2人で閉じ込められた学生は、彼の空想世界の産物である怪獣とヒロインが現実世界に現われたとの思い込みを放棄し、負傷した女性自衛官を救出して脱出を試みるのですが・・。

「夏と少女と怪獣と」
モンタナの湖に棲息し7年に1度姿を見せると言われている怪獣を、祖父の遺した怪獣の肉声テープを使って呼び出そうとする少年は、湖で泳ぐ少女に恋をします。ある日少女が失踪して怪獣に襲われたのではないかと推測されるのですが・・。

「怪獣神様」
両親によって売春宿に売られ、保護された後も村で白眼視されているタイの少女が、空から降り立った怪獣と心を通わせます。失われた惑星で「神」だったという怪獣は村を滅ぼしたいと願う少女を諭して、未来を信じて生き抜く希望を与えるのですが、タイ王国軍による攻撃が開始されてしまいます。果たして「神」は・・。

「怪獣無法地帯」
アポロ時代。多くの怪獣が棲息し「怪獣無法地帯」と言われるコンゴ奥地で怪獣に襲われた3人の西洋人を救ったのは、巨大類人猿を弟として密林に暮らす金髪の美少女でした。3人は墜落した偵察衛星を回収にきたアメリカのエージェントだと言うのですが、そこには「怪獣化」した宇宙飛行士がいたのです。これは、もうひとつのジャミラの物語だったのですね。

『MM9』本編の続編「destruction」はいつ出るのでしょう。そこでは3.11大震災が「怪獣災害」として描かれるのでしょうか。

2012/3